アーティスト ステートメント
■作品全般の目的
「この世界にある様々な関係性を形づくっているダイナミズム*(動的な要因)」や、「人や物、出来事の間で起こっている相互作用性」これらの光景を、視覚や表象のみならず知覚的に鑑賞することができ、且つ包括的で直感的な鑑賞体験によって個々人が持つ拡張された現実像や、表象の世界観を想起させる立体、及び空間作品を創出する。
*=ダイナミズムを動的な要因だと捉えている私は、それが日本民族観または仏教観の「縁」や哲学者ライプニッツが唱えた「モナド論のダイナミズム」に比較的近い概念と捉えている。そしてそれは全ての人々、物事、事象の関係性の間に発生するものであり、またその「間」そのものでもあるとも考える。巨視的に捉えるならば「必然的に映る偶然」や「天体の歳差運動」のような相互作用であると考える。
■作品全般の陳述
私は「関係性ダイナミズム」や「世界の間に起こる相互作用性」を状況や環境に合わせた材料や表現方法で作品を制作する。
最近の立体、及び空間作品に関しては、私は上記概念のヴィジュアルイメージを、人の営みや自然の成り立ち、世界の動向を観察する中で、3次元的に編まれた網のような状態だと捉えている。これは、人や物、出来事の相互作用は、時間と空間を絶えず交差し、変化し、拡張し続けてこの世界を作り出していることに着想を得ている。また観測者である各個人がダイナミズムを観測する時、ダイナミズムは人生で起こる出逢いや出来事と同じように空間的に動的で、時間的に不可逆的な軌跡を描く。(例えば、人の生きた軌跡を辿るならば、それは記録ビデオのように一方向であり、絵にするならば一筆書きで描かれた地図のようだろう。)このことから、私は、観測者が経験的に見ているダイナミズムの世界像を「一本の鉄線」で作品を編むことで築いている。
鉄線は主に高い抗張力を持つステンレス鋼線や、逆に抗張力が低く、非常に柔軟なアルミ線を用いて制作する。これは鑑賞者が知覚的なリアクションを作品から受けるために採用している。またこれら物質的特性を技術的に顕著に引き出された加工金属線を編み上げることで、古今の彫刻家が対話してきた物質性の観念から離れ、メタフィジカルな世界の構造や関係性の本質と成り立ちへの考察を深めようとしている。
こうして制作された立体、及び空間作品は、鑑賞者にとってより直感的に鑑賞できるように環境と状況に合わせて設定する。私は作品を通じて見えるものが概念として想起される以上に、経験記憶から引き出される追体験として表出されることを期待している。なぜならば、「関係性のダイナミズム」も「世界の間に起こる相互作用性」も、私の作品と同様に視覚や情報以上に知覚的な経験を持ってしか観測できない事象であるからだ。
私はアートを通しての知覚的な体験から、「世界」というものへの景観や見解が多彩に生まれることを期待して作品を制作する。
「この世界にある様々な関係性を形づくっているダイナミズム*(動的な要因)」や、「人や物、出来事の間で起こっている相互作用性」これらの光景を、視覚や表象のみならず知覚的に鑑賞することができ、且つ包括的で直感的な鑑賞体験によって個々人が持つ拡張された現実像や、表象の世界観を想起させる立体、及び空間作品を創出する。
*=ダイナミズムを動的な要因だと捉えている私は、それが日本民族観または仏教観の「縁」や哲学者ライプニッツが唱えた「モナド論のダイナミズム」に比較的近い概念と捉えている。そしてそれは全ての人々、物事、事象の関係性の間に発生するものであり、またその「間」そのものでもあるとも考える。巨視的に捉えるならば「必然的に映る偶然」や「天体の歳差運動」のような相互作用であると考える。
■作品全般の陳述
私は「関係性ダイナミズム」や「世界の間に起こる相互作用性」を状況や環境に合わせた材料や表現方法で作品を制作する。
最近の立体、及び空間作品に関しては、私は上記概念のヴィジュアルイメージを、人の営みや自然の成り立ち、世界の動向を観察する中で、3次元的に編まれた網のような状態だと捉えている。これは、人や物、出来事の相互作用は、時間と空間を絶えず交差し、変化し、拡張し続けてこの世界を作り出していることに着想を得ている。また観測者である各個人がダイナミズムを観測する時、ダイナミズムは人生で起こる出逢いや出来事と同じように空間的に動的で、時間的に不可逆的な軌跡を描く。(例えば、人の生きた軌跡を辿るならば、それは記録ビデオのように一方向であり、絵にするならば一筆書きで描かれた地図のようだろう。)このことから、私は、観測者が経験的に見ているダイナミズムの世界像を「一本の鉄線」で作品を編むことで築いている。
鉄線は主に高い抗張力を持つステンレス鋼線や、逆に抗張力が低く、非常に柔軟なアルミ線を用いて制作する。これは鑑賞者が知覚的なリアクションを作品から受けるために採用している。またこれら物質的特性を技術的に顕著に引き出された加工金属線を編み上げることで、古今の彫刻家が対話してきた物質性の観念から離れ、メタフィジカルな世界の構造や関係性の本質と成り立ちへの考察を深めようとしている。
こうして制作された立体、及び空間作品は、鑑賞者にとってより直感的に鑑賞できるように環境と状況に合わせて設定する。私は作品を通じて見えるものが概念として想起される以上に、経験記憶から引き出される追体験として表出されることを期待している。なぜならば、「関係性のダイナミズム」も「世界の間に起こる相互作用性」も、私の作品と同様に視覚や情報以上に知覚的な経験を持ってしか観測できない事象であるからだ。
私はアートを通しての知覚的な体験から、「世界」というものへの景観や見解が多彩に生まれることを期待して作品を制作する。